246st MARKET(ニイヨンロクストリートマーケット)

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【特別対談】WWDJAPAN編集長村上要が聞く!
デザイナー菊池武夫さんにとって
TOKYO TRADITIONとは?

 

多様で変化し続けることが日本のトラディッションの姿

 

村上:今回の246st.MARKETのテーマは「TOKYO TRADITION」ですが、

菊池さんはどのように捉えられていますか?

 

菊池:日本は西洋と違い洋服の時代がまだ短いため、トラディショナルな

形にも独自性があると思います。1970年代に入って多様化したファッション

こそが日本のトラディショナルであって、それがベースとなって現在まで

脈々と続いていることを実感してますね。私自身も自分が好きなアメリカの

開拓時代やイギリスの労働者の着こなしを参考にしながら、日本の文化に

あった服というものを考えてきました。

 

村上:TAKEO KIKUCHIの服って言語化できない「なんかカッコいい」という

魅力を備えていると思いますが、菊池さんのアイデアを反映しながら

日本らしさを忍ばせているからなんですね。

 

菊池:特定な対象に向けて作っているわけではなく、ストリート感覚で服作りを

50年余り続けてきました。時代に合わせて常に変わり続けていることが、

結果的にいい形になっているのではないでしょうか。

 

村上:時代に応じた流動性のある変化こそが東京ならではのファッションで、それを

続けていくことで伝統を積み上げ、アイデンティティーとしていくべきなんですね。

 

 

菊池:日本人の気質として、細かいディテールからアプローチして内側から全体を

変えていくという傾向があって、それが面白いところでもあり、日本らしさでも

ある。好奇心を無くさなければますます進化していけるはずだと思いますね。

 

村上:そうですね。さらに現在では社会のデジタル化が進み小さなコミュニティ

がたくさんできて、好きなものに対してピュアに高めあえる環境が育まれて

いると思います。そこで、「いいね!」と賛同を得られるクリエイターが

これからは生き残っていくのではないでしょうか。

 

菊池:これからはAIでの服作りも進んでいく時代。だからこそ、より人間が

見える服作り、内なるパッションを感じられるものが求められるようになるで

しょうね。賛否どちらの声もあっていい、それに臆せず新しいことにチャレンジ

する勇気を大切にしてほしいですね。